離職は、ダメなことじゃないと思っています。
人生の切り替わりの時なだけ。
いまでこそ、このような意見はあたりまえですが、
少し前まではそうではない空気が企業にはありました。
「継続できなくて、
石の上にも3年なのに、母にそう言われたけど辞めたいです」
組織にいたころ、こんな悩みを聞くことがよくありました。
今日は、職場での最後の場面を「卒業式」にした話です。
部下や同僚が、
「会社を辞める」と口にした時から準備に取り掛かります。
思いついたきっかけは・・・
ブライダルの業界へ足をふみいれ、
両足とも入ってしまうくらいになると、職場にて長い時間を過ごすようになりました。
そのころから、組織なので役職がつき、部下がふえました。
と同時に、辞める人が多いことに気づきました。
仕事の内容は、どの部署においてもハードでしたから、無理もありません。
シーズンになると、点滴しながら担当の婚礼をこなすプランナーもいました。
ブライダル業界のハードさは、
よくよく世間一般でも言われるように、時間労働のキツさと、精神的なキツさです。
男女ともに、体育会系でくよくよしない性質じゃないと続かないですよ。
そんなことから、スタッフが辞める時の理由は、本心ではないことがほとんどでした。
建前の理由です。
いつも、やるせない気持ちになりましたが、
それはそれで大人の判断ですから、ヨシッ!としていました。
辞める状況においては、次の仕事が決まっていない場合もあります。
そんな時、ふと不安そうな言葉を聞きます。
でも、でもっ、
「ここでこんなに頑張って成績を上げてきた実績」これは、だれもがあります。
その成績のために、汗水や涙を流したことも事実です。
よって、この汗水や涙の数をあらためて本人へ伝えたいと思いました。
これが、きっかけです。
「ここでこんなに頑張って成績を上げてきた実績」
というのは、何だろう?と考えることから始まりました。
何故ならば、バックヤードで働く裏方さんは、実績とか、数字とか残っていません。
でも、種類のちがう汗水や涙は流しました。
よって、いろいろなことを数字化しました。
スタイリストの場合。
営業さんの場合。
受付の場合。
裏方さんの場合。
カメラマンの場合。
美容師さんの場合。
フラワーさんの場合。
ささやかな日常の仕事を数字化しました。
数字実績が残っている
スタイリストや営業さんは、もともと売り上げ実績などが数字としてあります。
そこに、日常の電話応対件数、DM発送枚数、
ブライダル以外のお客さま対応件数、MTG参加数、
買い出し(パシリ)回数などなど、
それらの「一日の数✖在籍日数=挙績」としました。
この数字、すごい数です。
一人の人間が、これほどまでにがんばったという数字が表面化します。
そして、全員へくわえる数字として、
「ご挨拶」「ベストスマイル」「感謝」この数字を計算します。
数字が、具体的にわかる
項目だけをピックアップして数字化しました。
これを始めるようになって、
後で使うことを考えて、日常から数字を残すようにもなりました。
スタッフは呆れていたかもしれません。
卒業証書を入れる筒も準備しました。
もちろん、経費は会社の事務費用からは出せませんので自腹でした。
このあたりが自分自身の力の無さでした。
さておき!いよいよ、その卒業証書を渡す日がきます。
辞めるスタッフにとって、職場で過ごす最後の日です。
朝礼、終礼のどちらかで本人のあいさつの場面があります。
そのあと卒業証書授与式です。
そして、泣き顔と笑顔が集合して写真撮影になります。
ブライダル企業なので、集合写真は得意です。
約10年前に、わたくしも組織を卒業しました。
結び。
終わりの時は、つぎへ向かう喜びの時だと誰もがわかっています。
だけど、どこか寂しさや離れがたさを感じてしまう。
2~3日もすれば、吹っ切れて次のことへ気持ちがむいていきます。
そして、次に花咲かせる場所にてがんばる!
だけど、慣れない場所なので失敗もする・・・。
人生って、そんな様が繰り返されるのだと存じます。
だから、自分に自信が持てるように「数字」をもたせてやりたかった。
挫けてもいいけどー!へこたれるなー!と、エールを送り続けたい。
あの日あの時、共に頑張ってくれたのだから。
ただくじけた時に、
役に立ったのかどうかはどちらでもいいことです。
元気ならば。
何事においても、はじまりと終わりが在る。
「永遠はない」と、よく言われますが、
確かにそうだと少し前に気づきました。
あ・り・が・と・う!